千成せんなり)” の例文
冬、どした恐ろしない雪の日でも、くるめんばかぶらねで、千成せんなり林檎りんごこよりも赤え頬ぺたこ吹きさらし、どこさでも行けたのだずおん。
雀こ (新字新仮名) / 太宰治(著)
四季の花はもとよりで、人形の着もの、守袋、巾着きんちゃくもありましょう、そんなものを一条ひとすじの房につないで、柱、天井から掛けるので。祝って、千成せんなり百成ひゃくなりと言いました。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
近づきに一杯、と阿部が云うのを、もとより好きな酒、いやである筈がなく、阿部について行くと、タクシーを拾って、千成せんなりというこの市の一流の料亭の玄関に乗りつけた。
糞尿譚 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
その当時、新橋駅付近に、千成せんなりと名乗る嵯峨野さがのの料理職人が、度胸どきょうよく寿司屋稼業を始め、大衆を相手にして、いつの間にか職人十数人を威勢よくあごで使って、三流寿司を握り出した。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)