十返舎一九じっぺんしゃいっく式亭三馬しきていさんばが、滑稽物をひっさげて、戯作界へ現われたのは馬琴にとっては容易ならない競争相手といってよかろう。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
山東京伝さんとうきょうでんであれ、式亭三馬しきていさんばであれ、十返舎一九じっぺんしゃいっくであれ、為永春水ためながしゅんすいであれ、直接に当時の実社会を描き写して居るものが沢山ありますが、馬琴においては
十返舎一九じっぺんしゃいっくの『膝栗毛』も篇を重ねて行くに従い、滑稽の趣向も人まちがいや、夜這よばいが多くなり、遂に土瓶の中に垂れ流した小便を出がらしの茶とまちがえて飲むような事になる。
裸体談義 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その弥次郎兵衛はたしかに理想的の弥次さんであった。あくまでも真面目に取り澄ましていて、それで何処どことなくとぼけている工合は、十返舎一九じっぺんしゃいっくの筆意を眼のあたりに見るようであった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
十返舎一九じっぺんしゃいっくの『金草鞋かねのわらじ』といふ絵草子二十四冊ほどあり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
十返舎一九じっぺんしゃいっく曰く
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)