十六夜日記いざよいにっき)” の例文
十六夜日記いざよいにっき』『夜の鶴』『庭のおしえ』などがこのとき書かれたことは人の知る通りである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
あの『十六夜日記いざよいにっき』で名高い阿仏尼あぶつにが東国へ下る時に、そのむすめ紀内侍きのないしのこしたといわれる「にわおしえ」一名「乳母の文」にも、「庭の草はけづれども絶えぬものにて候ぞかし」
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
漁舟江心に向かいてこぎ出せば欸乃あいだい風に漂うて白砂の上に黒き鳥の群れ居るなどは『十六夜日記いざよいにっき』そのままなり。浜松にては下りる人乗る人共に多く窮屈さ更に甚だしくなりぬ。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
十六夜日記いざよいにっきの筆者が、この山中に宿った夜は、寝小屋もないまま、柿の木の下に油単ゆたんをかけ、落葉を敷いて、まどろんだところ、やがてれ柿の実が、ぼとぼとと落ちて来るので寝つかれもせず
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)