区々まち/\)” の例文
旧字:區々
君の云ふ通りどの証人も所謂いはゆるそつけない声に就いては異論がなかつた。ところが所謂鋭い声となると区々まち/\なことを云つてゐる。
坂本はそれまでの事には及ばぬと思ひ、又指図の区々まち/\なのを不平に思つたが、それでも馬一頭を借りて蒲生がまふを乗せて、大筒を取り寄せさせに、玉造口定番所ぢやうばんしよへ遣つた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あの証人共が区々まち/\な聞き取りやうをした、詞に組み立てられてゐなかつた声と連係させるのだね。
又ドイツの或る新聞は「小学教師は生徒に傍輩の非行を告発することを強制すべきものなりや否や」と云ふ問題を出して、諸方面の名士の答案を募つた。答案は区々まち/\であつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
攘夷論の猶盛であつた当時、毀誉の区々まち/\であつたのは怪むに足らない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
倉成竜渚りゆうしよの歿したのは前年文化九年十二月十日で、齢は六十五であつた。名はけいであつたらしい。鉛字えんじの世となつてから、経と書しかうと書し、諸書区々まち/\になつてゐる。あざなは善卿、通称は善司であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)