匇々そこそこ)” の例文
子供でもきまりが悪くなって、匇々そこそこに其処の門口を離れて帰って来た事も有ったっけが……
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今日きょう人をたずぬ可く午前中に釧路を去らねばならぬので、見物は匇々そこそこにして宿に帰る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
匇々そこそこに其の後を追っ掛けて行ったという事だ、是で見ると昨夜余の漏れ聞いた争いの結果が到頭円満には纒らずに怪美人が虎井夫人を振り捨てて立ったのだろう、何の様な間柄かは知らぬけれど
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
匇々そこそこにして原は出て行った。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
文三は狼狽あわてて告別わかれの挨拶を做直しなおして匇々そこそこ戸外おもてへ立出で、ホッと一息溜息ためいきいた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お糸さんは挨拶も匇々そこそこに私の部屋を出て行ったが、ツイ其処らで立止った様子で
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)