剞劂きけつ)” の例文
明治二十六年十二月に至って枕山の女嘉禰かねが亡父晩年の作を編成し『枕山先生遺稿』と題してこれを剞劂きけつに付した。杉浦梅潭ばいたんの序に
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
聞く、つとに舶載せられしものは、既に日本語の翻案ありと。又聞く、近年この種の翻案を密に剞劂きけつに附せしものありと。
既にして詩集後編は発行せられた。其奥附には「文政六年歳次癸未冬十一月刻成」と記してある。校閲は庚辰に終り、序文は辛巳に成り、剞劂きけつは癸未に終つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
故に未だ其底蘊を罄ざる者鮮しと為さず、たゞ人をして医道の真面目を知らしめんと欲するに急にして、にわかに剞劂きけつに附し、れを天下に公けにす。今自ら之を観れば、慙愧ざんき殊に甚だし。
杉田玄白 (新字新仮名) / 石原純(著)
コレ鄙稿ヲ篋底きょうていニ探リ出シテあらた剞劂きけつ氏ニ託スル所以ゆえんナリトイフ。大正十五年丙寅へいいん初春永井荷風識。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
托氏とし宗教小説は、西暦千九百有七年、支那では光緒くわうしよ三十三年、香港ホンコン礼賢れいけん会(Rhenish Missionary Society)が、剞劂きけつに付した本である。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)