出立でたち)” の例文
昔、親鸞がこの寺に来て滞在しいよいよ帰ろうという日に、出立でたちの膳の箸を取って、御堂の庭にさしました。阿弥陀如来あみだにょらいの大慈大悲には、枯れた木も花が咲く。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その出立でたちの時に自分はもう此辺このへんからしみじみ帰りたかつたのだとも哀れに思ひ出される。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
かけて東京へ引くは今のなるべし昔の人が須磨明石の月もおふごにかけてふり賣にやせんと冷評せしは實地となること日を待たじ故に地方漫遊のまた名所古跡一覽のと云ふ人は少し出立でたち
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
出立でたち王子は定家卿の『後鳥羽院熊野御幸記』にも見るごとく、この上皇関東討滅を熊野に親しく祈らんため、御譲位後二十四年一回ずつ参詣あり、毎度この社辺に宿したまい(御所谷ごしょたにと申す)
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)