凭懸よっかか)” の例文
私は凭懸よっかかるものもなく、ぼんやりやみの中に立ったがね、あの人は、と思うと、目の下に、黒髪が俤立おもかげだつ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
青苔あおごけ緑青ろくしょうがぶくぶく禿げた、湿ったのりの香のぷんとする、山の書割の立て掛けてある暗い処へ凭懸よっかかって、ああ、さすがにここも都だ、としきりに可懐なつかしじった。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)