内衣嚢うちがくし)” の例文
ムネ・シユリイは「おお今夜は好い記念を持つて来て居た」と云つて、有名な皺だらけのフロツクコオトの内衣嚢うちがくしから一通の手紙を取出した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ゆっくり内衣嚢うちがくしから巻煙草まきたばこ入れを取り出して、金口きんぐちを一本つまみ取ると、炭の上にたまった灰を静かにかきのけるようにして火をつけて、のどかにかおりのいい煙を座敷に漂わした。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ヌエは内衣嚢うちがくしから白耳義ベルジツクの雑誌に載つた自分の詩の六ペイジをりの抄本を出してこれを読んでれと云つた。日本とちがつて作物さくぶつが印刷されると云ふ事は欧洲の若い文人に取つて容易で無い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)