入側いりかわ)” の例文
此の寮も大して広いうちではございませんが客席が十五畳、次が十畳になって、入側いりかわも附いて居り誠に立派な住居すまいでございます。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
峰丹波は、大きなからだに入側いりかわの縁をきしませて……表むきはどこまでも、御後室様と臣です。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そこを通り抜けて、一畳はばに五畳か六畳を長く敷いた入側いりかわ見たような薄暗い部屋を通ったが、茶の間でもその部屋でも処〻しょしょで、足踏あしぶみにつれてポコポコとゆるんで浮いている根太板ねだいたのヘンな音がした。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
というので、通って見ると、病間は入側いりかわ附きの八畳の広間で、花月床かげつどこに成って居ります。
わたくしが参りました時分には頓と締りが有りませんから、自由にそっと障子を開けて、濡れた足で窓から忍び込み、なが四畳の入側いりかわの処へ踏込みまして、二重に締って居りました唐紙を細目に開けて
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)