先祖せんそ)” の例文
姓名だの紋章だのは、先祖せんそからけて子孫に伝える大切なものである。みだりかくしたりあらためたりすべきものではない。そんな事をしなくては出来ぬ奉公なら、せぬがいといったのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
曼公が周防国すおうのくに岩国いわくにに足を留めていた時、池田嵩山すうざんというものが治痘の法を受けた。嵩山は吉川きっかわ家の医官で、名を正直せいちょくという。先祖せんそ蒲冠者かばのかんじゃ範頼のりよりから出て、世々よよ出雲いずもにおり、生田いくた氏を称した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)