兇猛きょうもう)” の例文
ただしかし、実際の場所を知っている私は、この兇猛きょうもうな犯罪実話を書くにあたって、特殊の個人的感興かんきょうを覚えるのである。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
ところが大山猫の四肢は上から下までが殆ど同じ太さで、しかも胴体に比べて恐ろしく太く且つ長い。それが少しも鈍重な感を与えぬばかりか、弾力ある兇猛きょうもうな力を感じさせる。
黒猫 (新字新仮名) / 島木健作(著)
黒犬は悪戦すこぶる努め、ついに敵を噛み伏せるに至った。そこへ警戒中の巡査もけつけ、直ちに狼を銃殺した。この狼はルプス・ジガンティクスと称し、最も兇猛きょうもうな種属であると云う。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)