傲骨ごうこつ)” の例文
彼の経綸けいりんは、彼の不覊ふきなる傲骨ごうこつと共に、寂寥せきりょうたる蕭寺しょうじの中に葬られたり。滔々とうとうたる天下は、温かなる泰平の新夢に沈睡して、呼べどもむべしと見えざりき。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
この点に於ては彼は一も二も無く貫一の師表たるべしといへども、その実さばかりの残刻と譎詐きつさとをほしいままにして、なほ天におそれず、人にはばからざる不敵の傲骨ごうこつあるにあらず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかし是に懲らされて、狐は落されてしまったと見え、それからは、鳶肩えんけん長身、傲骨ごうこつ稜々りょうりょうたる匡衡朝臣も、おとなしくなって、好いお父さんになっていたという話である。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)