“偐紫楼”の読み方と例文
読み方割合
にせむらさきろう100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すべ偐紫楼にせむらさきろうと自ら題したこの住居すまいのありさまは、自分が生れた質素な下谷したや御徒町おかちまち組屋敷くみやしきに比べてそも何といおうか。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
偐紫楼にせむらさきろう燈火ともしびは春よりも夏よりもいらずらにその光の澄み渡るもややめて来た頃であった。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すると毎夜種油たねあぶらついえを惜しまず、三筋みすじも四筋も燈心とうしんを投入れた偐紫楼にせむらさきろう円行燈まるあんどうは、今こそといわぬばかり独りこの戯作者げさくしゃいおりをわが物顔に、その光はいよいよ鮮かにその影はいよいよ涼しく
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)