倒死のたれじに)” の例文
お雪は又、附添つけたして、仮令たとい倒死のたれじにするとも一旦とついだ以上は親の家へ帰るな、と堅く父親に言い含められて来たことなどを話した。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
母子二人倒死のたれじにするまでも、腹の中をからにして往生するにもしろ、以前、我が家のさかつた頃、台所から這ひずつて来て、親父の指の先に転がされて働いた奴等の下職人したとはなつて、溝板修覆なおしや
もつれ糸 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
倒死のたれじにするとも帰るなと堅く言ってよこしたという名倉の父の家へ、果してお雪が帰り得るであろうか。それすら疑問であった。お雪は既に入籍したものである。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)