俳優わざおぎ)” の例文
「それは十分呑み込んでおりまするが、それなれば何故、これなる俳優わざおぎに、事々しゅう、秘巻伝授などと言う事を、仰せられましたか?」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
芝居にて贔屓ひいき俳優わざおぎみるここちしてうちまもりたるに、胸にそうびの自然花をこずえのままに着けたるほかに、飾りというべきもの一つもあらぬ水色ぎぬの裳裾もすそ
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
将軍家うえさまをはじめ奉り、彼の推挽によって役付いたる人々、立身出世したる奴、また常日頃出入りするやから、および市中の俳優わざおぎや妓女、それらを招いて仮装の酒宴うたげを催し、落成を祝うことになり
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
美しい俳優わざおぎは、そうした行人の、無遠慮なささやきを、迷惑そうに、いつか、諏訪すわ町も通り抜けて、ふと、右手の鳥居を眺めると
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
芝居にて贔屓ひいき俳優わざおぎみるここちしてうちまもりたるに、胸にさうびの自然花をこずえのままに着けたるほかに、飾といふべきもの一つもあらぬ水色ぎぬの裳裾もすそ、狭き間をくぐりながちたわまぬ輪をえがきて
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
と、将軍の寵姫ちょうきは、一俳優わざおぎの前で、だだっ子らしい愛らしさで激しくかぶりを振って
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)