便乗びんじょう)” の例文
旧字:便乘
且つまた、媚態百出、風向きのいい方へ便乗びんじょうしようと、色目の使い通しな不都合な奴もあればあるもので、鐚公びたこうの如きがその一人。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
軍隊のトラックを呼び止めて、それに便乗びんじょうする手は残っていた。しかしそれも物憂ものうく、街の中央にある旅館に入って行った。そして飯をたべた。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
ふいに木枕きまくらとばされて、はねおきたのは便乗びんじょうしてきた卜斎ぼくさい呂宋兵衛るそんべえ。フト見ると、どうのグルリに、閃々せんせんと光るものが立ちならんでいる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし結局、隆夫のおかげで、治明博士はインドシナへ向う貨物船に便乗びんじょうすることができた。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それに自分も便乗びんじょうしようという肚でいたのだった。
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その船で江戸までの廻航に便乗びんじょうしたということがあるというわけでした。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
話して、その後に、例の……船の便乗びんじょう、頼んでみられてはどうか
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)