侍頭さむらいがしら)” の例文
下野はいよいよ恐懼きょうくして身をちぢめた。四、五十名の一小隊をあずかる侍頭さむらいがしらに過ぎない身分を顧みて、思案に余るものらしく見えた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時刻がくると小目付が侍頭さむらいがしらと共に仮小屋の検分所へ入ってくる。
相馬の仇討 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
日向守ひゅうがのかみ様の御内、伊勢与三郎貞興さだおき侍頭さむらいがしら進藤半助しんどうはんすけとはそれがしのことよ。主人貞興は、はやお討たれなされた。この半助も、生きて何かせん。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見廻りの侍頭さむらいがしらは、先刻さっきそこで石曳きの男がたたき割った西瓜のようになって、形を失ってしまった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると三日目のひるごろ。戦後の焼け跡を、騎馬で視察に来た斎藤家の侍頭さむらいがしら
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夫人の清子は、老臣、侍頭さむらいがしらなどをよびつけて、その盲動を、きびしく叱った。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人のし得ない軍功をきっと土産にして凱旋がいせんするのだった。つい数年前までは、槍組の軽輩けいはいであったのに、今度の戦ではもう先手組の侍頭さむらいがしらとして、五百人の兵をあずかって出陣を命じられている。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
侍頭さむらいがしら坂部十郎太さかべじゅうろうたが、おごそかにいいわたした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「藩の侍頭さむらいがしら亘志摩わたりしまどのをご存じあろうが」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)