佐殿すけどの)” の例文
正清としてはどうにもあきらめきれぬ、一足お先へ行って下さい、自分ひとり駈け戻って、佐殿すけどののご生死を見届けて追いつきまする。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沙汰人数多あまた出でける中に、源内兵衛真弘げんないひょうえさねひろと云う者、腹巻取って打ち懸け、長刀持ちて走り出でけるが、佐殿すけどのを見奉り、馬の口に取り附き
花吹雪 (新字新仮名) / 太宰治(著)
佐殿すけどの文覚もんがくふぐをすゝめけり
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
佐殿すけどの
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「さて、困ったものよと、おかこちを洩らされ、ひとつ、佐殿すけどのからでもいうてもらうしかあるまいかなどと、お焦立いらだちのていにござりました」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ふうム、ではお許は、佐殿すけどのあざむいたのだな。遊女のように恋をもてあそんで来たのか。それで心がいたまぬのか」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう一夜、わたくしを、佐殿すけどのに会わせて下さい。あのお方に、何もかも、お告げしておきます。お兄上様始め、他のご一味は、佐殿のお口からお聞き下さいませ。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)