住居すま)” の例文
例の小路こうじを二三度曲折して、須永の住居すまっている通りの角まで来ると、彼より先に一人の女が須永の門をくぐった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
家主やぬしは下の中の間の六畳と、奥の五畳との二間に住居すまいて、店は八畳ばかり板の間になりおれども、商売家あきないやにあらざれば、昼も一枚しとみをおろして、ここは使わずに打捨てあり。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は自分の住居すまっている地理上の関係から、常に本郷三田間を連絡する電車にばかり乗っていたため、巣鴨方面から水道橋を通って同じく三田に続く線路の存在に
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
予は茫然ばうぜんとして立ちたりけるが、想ふに藪の中に住居すまへるは、狐か狸か其るゐならむ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
電話の方が(塗立注意。)などと来るといよいよ日当りに新味を発揮するが、油障子に(火の番。)と書いたお定りの屋台は、昼行燈あんどうと云う形。屋形船が化けて出て河童かっぱ住居すまう風情がある。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)