伊東いとう)” の例文
昔、伊東いとうで病気を養っていた頃、東京の一流料理店の主人が、遊びに来たことがある。料理店を通じての友人ではなく、同郷の男である。
面白味 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
り候この地はとにかく読書にも創作にも不適当なるぶるじよあじいの国にて御話にならぬ無聊ぶりょうさとに候唯この頃はルウィエといふ伊東いとうさんのお嬢さんを
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
小田原おだわらから伊東いとうに至る十一の停車場の出口には、鋭い眼をした私服のお巡りさんたちが、眼でない、鼻をヒクヒクさせながら、まるで旅客りょきゃくのような恪好かっこうで、こっそり立ちはじめた。
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
と、伊東いとうはその晩の日記に書くことであろう。
暴風雨に終わった一日 (新字新仮名) / 松本泰(著)
四月十三日 伊東いとうにて
伊東から (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もう一昨年のことであるが、その頃まだ伊東いとうで病後の静養をしていた私のところへ、津田青楓つだせいふうさんから、或る日小さい小包が届いたことがあった。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)