伊庭いば)” の例文
わたくしは少時捨吉が伊庭いば氏に従って剣術を学んだという事を佐藤牧山の『牧山楼詩鈔』に加えた枕山の批語についてこれを知った。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
水戸藩の剣道指南役でもあり、塾弟子常に二百人に余り、男谷下総守おたにしもうさのかみ、斎藤弥九郎、桃井もものい春蔵、伊庭いば軍兵衛と、名声を競ったものであった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
教えを受けるなら浅利又七郎もいるし、斎藤弥九郎、伊庭いば軍兵衛、大石進などもいる。なにも千葉周作には限らない。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
島田の攻撃ぶりと伊庭いばの非常手段に非常なる共鳴をもっていたので、星の偉さが分ったのはずっと後のこと
生前身後の事 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ゆき子は、まつすぐ東京へ出て伊庭いばを尋ねてみようと思つた。焼けてさへゐなければ、富岡に逢へるまで、まづ伊庭の処へ厄介になつてもいゝのだ。厭な記憶しかないが、仕方がない。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
男谷下総守おだにしもうさのかみをはじめ、戸田八郎左衛門だの、伊庭いば軍兵衛だの、近藤弥之助だの、榊原健吉だの、小野(山岡)鉄太郎だのというものの品評に及ぶ。それから古人の評判にまで進む。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「これちょっと待て、伊庭いば八郎!」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
塾というのは伊庭いばの塾のことで、塾へ帰ると同門の岡野誠一郎をとっつかまえて、今、首くくりを助けて来てやった、とその由を語ると、正直な岡野が面の色を変えて、それは助けたんじゃない
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)