令夫人おくさん)” の例文
ほほほ、貴郎あなた真面目まじめで聞くことはないんだわ。め組の云う兇状持なら、あの令夫人おくさんがああ見えて、内々大福餅がお好きだぐらいなもんですよ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ああ、おうわさで存じております。島山さんの令夫人おくさんでいらっしゃいますか。……これはどうも。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うむ、沢山たんとあの先生にお酌をしてあげておくれ。——これで安心したよ。……やくざな小父さんなんぞと違って、先生だからね。学校出の令夫人おくさんだ、第一義理がある。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
で、お蔦は、たとい貴郎が、その癖、内々お妙さんに岡惚おかぼれをしているのでも可い。河野に添わせるくらいなら、貴郎の令夫人おくさんにして私が追出おんだされる方がいっそ増だ、とまで極端に排斥する。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)