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人無村
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ひとなしむら
人無村で、とんだ
命びろいをしたッきり、
白旗の
森のおくへもぐりこんでしまった
竹童も、ほんとに、
頭脳がいいならば、いまこそどこかで
「おれか、おれは
裾野の
折角村だ、だがいまあの村には、
桑畑の
蚕婆と、おれの親方だけしか住んでいないから
人無村というほうがほんとうだ」
人無村をかけぬけて、
渺漠たる
裾野の原にはいると、
黒馬の
将は、
鞍のうえから声をからして、はげました。
雨ヶ
岳の火はまだ赤々ともえている。