人無村ひとなしむら)” の例文
人無村ひとなしむらで、とんだいのちびろいをしたッきり、白旗しらはたもりのおくへもぐりこんでしまった竹童ちくどうも、ほんとに、頭脳あたまがいいならば、いまこそどこかで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おれか、おれは裾野すその折角村おりかどむらだ、だがいまあの村には、桑畑くわばたけ蚕婆かいこばばあと、おれの親方だけしか住んでいないから人無村ひとなしむらというほうがほんとうだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人無村ひとなしむらをかけぬけて、渺漠びょうばくたる裾野すそのの原にはいると、黒馬こくばしょうは、くらのうえから声をからして、はげました。あまたけの火はまだ赤々ともえている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)