井生村楼いぶむらろう)” の例文
芳郎はゆっくりとした足どりでその坂路を登りながら、その日、午後四時から井生村楼いぶむらろうに催される演説会の演説の腹稿ふっこうをこしらえていた。
赤い花 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
内部の献立こんだて悉皆すっかり出来上がり、会名が附いたのでとどけを出し、許可になったので、その年の秋すなわち明治十九年十一月むこう両国の貸席井生村楼いぶむらろうで発会することになった。
勝久はこの歌に本づいて歌曲「まつさかえ」を作り、両国井生村楼いぶむらろうで新曲開きをした。勝三郎を始として、杵屋一派の名流が集まった。曲は奉書摺ほうしょずりの本に為立したててかくわかたれた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)