五布いつの)” の例文
彼は、口のうちで呟くようにいいながら、狭い五布いつのの蒲団の中で、くるりと向きを変えた。夢ともうつつともない瞬間の後に、彼は再び深い眠りに落ちていた。
仇討三態 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
夜具は五布いつので三人いっしょに寝る規則だが、人数に対して夜具にゆとりがあるため、三人の小頭と栄二、また女衒の六のほか二人ばかりは、めいめい一人で寝ていた。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
商売冥利みょうり渡世くちすぎは出来るもの、あきないはするもので、五布いつのばかりの鬱金うこんの風呂敷一枚の店に、襦袢じゅばんの数々。赤坂だったらやっこ肌脱はなぬぎ、四谷じゃ六方をみそうな、けばけばしい胴、派手な袖。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)