日本人共同墓地に二葉亭四迷ふたばていしめいの墓を弔ふ。敬二、楠窓同道。章子は途中空葉居に下車。帰途敬二居に立寄り帰船。正午出帆。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
二葉亭四迷ふたばていしめいや石川啄木も、かう云ふ悲劇中の人物である。尤も二葉亭四迷は彼等よりも柔かい心臓を持つてゐなかつた。
二葉亭四迷ふたばていしめいでて以来ほとんど現代小説の定形の如くなった言文一致体げんぶんいっちたいの修辞法は七五調をなした江戸風詞曲の述作には害をなすものと思ったからである。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
独逸ドイツのレクラム本が最も多かったが、また日本の森鴎外、上田敏、二葉亭四迷ふたばていしめいなどの著作物もまじっていた。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
金は這入はいるが、「蝴蝶」を発表当時ほど言文一致派の気焔きえんは上らないで、西鶴さいかく研究派の方が、頭角を出して来たうえに、言文一致は、二葉亭四迷ふたばていしめいの「うきくさ」の方が
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)