二片ふたつ)” の例文
つい下のえのき離れて唖々ああと飛び行くからすの声までも金色こんじきに聞こゆる時、雲二片ふたつ蓬々然ふらふらと赤城のうしろより浮かびでたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
と、一段声を低めて「あの破火鉢やぶれひばちに佐倉が二片ふたつちゃんといかって灰がけて有るじゃア御座いませんか。 ...
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
やがて日落ちて黄昏たそがれ寒き風の立つままに、二片ふたつの雲今は薔薇色ばらいろうつろいつつ、上下うえしたに吹き離され、しだいに暮るる夕空を別れ別れにたどると見しもしばし
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)