二日月ふつかづき)” の例文
夜の高原の空気におもてさらすと、西の空に二日月ふつかづきがかかっているのを見るばかりで、前後も、左右も、みな山であります。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
物憎いことには、あとの口腔こうこうに淡い苦味が二日月ふつかづきの影のようにほのかにとどまったことだ。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その頃、もうトップリと日が暮れて、猫のひとみに似た二日月ふつかづきが、水の深所しんじょに澄んでいた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)