乳房ちち)” の例文
自分を叱り、自分をはげましながら、彼女は、涙を拭いて立った。奥のほうで大三郎が眼をさましたとみえ、乳房ちちを求めて泣きぬいている。——
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第二に平岡が、なぜ人血を袖につけて居るか? 先刻、訊問の際注意して見ると平岡は男に似合わず乳房ちちが大きい。
呪われの家 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
おまへがどれほど笑ひを愛する被造物であるかを確かめるために、両乳房ちちの間に蠍のやうな接吻を。
遺産分配書 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
一了簡あり顔の政が木遣きやりを丸めたような声しながら、北に峨々ががたる青山せいざんをとおつなことを吐き出す勝手三昧ざんまい、やっちゃもっちゃの末はけんも下卑て、乳房ちちふくれた奴が臍の下に紙幕張るほどになれば
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)