乙松おとまつ)” の例文
「昨夜亥刻よつ少し過ぎ(十時過ぎ)小僧の乙松おとまつ離屋はなれの前で嫁のお袖に逢つたさうですよ。月は良かつたし、間違ひはないつて言ふが」
小僧の乙松おとまつが、宵暗の離屋はなれの入口で見たのは、お袖ではなくて、この姉のお幾だつたことは言ふ迄もありません。
くなつた番頭の伊八さんで、——もつとも朝戸を開けて、庭を見廻るのは小僧の乙松おとまつの仕事で、へエ——」
「他じゃございませんが、私の弟の乙松おとまつというのが、七日ばかり前から行方ゆくえ知れずになりました」
「他ぢや御座いませんが、私の弟の乙松おとまつといふのが、七日ばかり前から行方不明ゆくへしれずになりました」
「何をニヤニヤして居るんだ、乙松おとまつの行方が解つたのか」