中継なかつぎ)” の例文
冥土めいどに於けるC子の姿は無線遠視テレヴィジョンに撮られて、直ちに中央放送局へ中継なかつぎされる。娑婆ではこれを、警察庁公示こうじ事項じこうのニュースとしてC子の姿を放送する。
十年後のラジオ界 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
此文中道盛信全は蘭軒の生父信階のぶしなの養父信政より、信栄、一時中継なかつぎたりし信階、信美しんびを経て信全に至る、伊沢宗家の当主で、辛亥には六十九歳であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
大阪で中継なかつぎをする時間さえ惜んで、すぐ東京まで寝台で通そうと云うのが母と兄の主張であった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ちょうど段々中継なかつぎの一土間、向桟敷むこうさじきと云った処、さかりに緋葉した樹の根に寄った方で、うつむきなりに片袖をさしむけたのは、すがれ、手を取ろう身構えで、腰を靡娜なよやかに振向いた。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)