中低なかびく)” の例文
色糸の入った荒いかすり銘仙めいせんに同じような羽織を重ねた身なりといい、あごの出た中低なかびくな顔立といい、別に人の目を引くほどの女ではないが、十七
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
中低なかびくのしゃくれた顔、色白で、鼻声で、八文の茶代に小判で、——悪いことに、米沢町の家の板塀にのべつ穴を
この二十五六の大年増、中低なかびく盤臺面ばんだいづらで、いささか肥りじしで、非凡の不きりやうですが、座持がよく唄がうまい外に、何んとなく一種不思議な魅力を感じさせる女です。
額はまるく、まゆも薄く眼も細く、横から見ると随分しゃくれた中低なかびくの顔であるが、富士額ふじびたい生際はえぎわかつらをつけたようにあざやかで、下唇の出た口元に言われぬ愛嬌あいきょうがあって、物言う時歯並の好い
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この二十五六の大年増、中低なかびく盤台面ばんだいづらで、いささか肥りじしで、非凡の不きりょうですが、座持がよく唄がうまいほかに、何んとなく一種不思議な魅力を感じさせる女です。
中低なかびく盤臺面ばんだいづらの、非凡の愛嬌者で、高輪の往來——遲發おそだちの旅人の、好奇の眼を見張る中から、八五郎をしよつ引いて、巴屋の店に飛び込むほどの勇氣と腕力を持つてゐたのです。
中低なかびく盤台面ばんだいづらの、非凡の愛嬌者で、高輪の往来——遅発おそだちの旅人の、好奇の眼を見張る中から、八五郎をしょっ引いて、巴屋の店に飛び込むほどの勇気と腕力を持っていたのです。