丑満刻うしみつどき)” の例文
猫蔦ねこつたの茂るにまかせた見るからにすさまじいさながらの廃墟、時刻はあたかも丑満刻うしみつどき、万籟寂として滅し、聴えるものはホイホイというなにやら怪しい物音ばかり。
二人の従者も酒に酔って、庭向きのひさしの下にッかかったまま性体しょうたいもない。深沈しんちんと夜はけに、更けて行き、まさにむねも三寸下がるという丑満刻うしみつどき人気ひとけない冷たさだけが肌身にせまる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)