不精無精ふしょうぶしょう)” の例文
むこうにも家が見える。その上には鉛色なまりいろの空が一面に胃病やみのように不精無精ふしょうぶしょうに垂れかかっているのみである。余は首を縮めて窓より中へ引き込めた。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私の目がみんなの方に向くと喰い肥った方の馭者が、大きく欠伸あくびして、さも不精無精ふしょうぶしょう
遠野へ (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
少年こどもはいぶかしそうに豊吉を見て、不精無精ふしょうぶしょうかごの口を豊吉の前に差し向けた。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
しかし宗助が興味をたない叔父の所へ、不精無精ふしょうぶしょうにせよ、時たま出掛けて行くのは、単に叔父おいの血属関係を、世間並に持ちこたえるための義務心からではなくって、いつか機会があったら
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)