上平館かみひらやかた)” の例文
譲り受けて、丹念に取毀とりこわし、そうして我々の胆吹山麓、上平館かみひらやかたの王国の中へそのまま移し換えることはできないものでしょうか。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その夜、上平館かみひらやかたの松の丸のあの座敷の、大きな炉辺ろべりに向い合って坐っているのは、お雪ちゃんと宇治山田の米友でありました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
道庵先生のハイキングコースは、上平館かみひらやかたを出でて、通例だれもがする小高野から鞠場まりばへかけての胆吹の表参道であります。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
胆吹いぶき上平館かみひらやかたの新館の庭の木立で、二人の浪人者が、木蔭に立迷いながら、語音は極めて平常に会話を交わしている——
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
青嵐居士といえば、あれから早くも、胆吹王国のオブザアバーとなって、今では自分から興味をもって、あの上平館かみひらやかたの留守師団長をつとめているのです。
長浜から僅かに三里、上りとはいえども、程度の知れた道、まもなく胆吹の麓について、よく聞きただした上平館かみひらやかたの一角を探し当てたのは容易たやすいことです。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
上平館かみひらやかたの一間からこの遊魂は、長浜の人里を慕うて下りて行かんとしてここまで漂うて来て、ここで暫く待機の姿勢をとって、そうして、虎視眈々こしたんたんとして
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
上平館かみひらやかたてのへお伺いしてみたんでげすが——お嬢様は長浜へお越しになっていらっしゃる、てなことをお聞き申したものですから、こうおあとを慕ってまいりました。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「いいか、胆吹山へ着いたら上平館かみひらやかたというのをたずねて行くんだ、そこに青嵐あおあらしという親分がいる」
胆吹の上平館かみひらやかたの出丸では、道庵先生と、お雪ちゃんとが、たちまち打ちとけてしまいました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「それは、胆吹山いぶきやま上平館かみひらやかたの女王様とやらの、なされた法事でございます」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
例の上平館かみひらやかたの開墾が起りまして、そこに一種の理想を抱く修行者——同志が集まって、一王国の生活を企てている、そういう風説うわさを聞きましたものですから、僕は越前の福井からかけつけて
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)