一高いちこう)” の例文
彼は中学を卒業してから、一高いちこうの試験を受けることにした。が、生憎あいにく落第らくだいした。彼があの印刷屋の二階に間借まがりをはじめたのはそれからである。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ヤスベエねえちゃんの、一高いちこう七不思議の一つ、「かずの扉」には、もう、みんな、きゃあ、きゃあ。ドロンドロン式でなく、心理的なので、面白い。
女生徒 (新字新仮名) / 太宰治(著)
次には先生の東京時代に一高いちこうや大学で英語英文学を教わった広い意味での弟子たちがある。その中で先生の千駄木町せんだぎちょう時代にその門に出入した人たちがある。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
私達は肩を組み合い、もつれるようにして、一高いちこう寮歌りょうかなどを歌いながら、下宿に帰った。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
階下の輪転機りんてんきのまわり出す度にちょうど小蒸汽こじょうきの船室のようにがたがた身震みぶるいをする二階である。まだ一高いちこうの生徒だった僕は寄宿舎の晩飯をすませたのち、度たびこの二階へ遊びに行った。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「だから一高いちこうへはいりゃ好いのに。」
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)