一隻いっせき)” の例文
それにしても潜水艦とは、可笑おかしいな、敵の潜水艦は、先刻からみているが始めの位置を動いたのは、一隻いっせきも居ないはずじゃが……
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
白雲は、二人の没入した蘆荻の中を、苦笑いしながらなお眼鏡をはずさないで見ていると、やがてその間から、すうっと一隻いっせきの小舟が漕ぎ出されたのを見て
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なかなかその値段は高いもので、ごくよい血角けっかくになるとその価もまた非常に高い。そのつの一隻いっせきの価がチベットでシナ人の買う値段が、日本金貨に換えて五百円位のものがあるです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
海も空も地の上も戦火から解放かいほうされた終戦翌年の四月四日、この日朝はやく、一本松の村をこぎだした一隻いっせき伝馬船てんませんは、こんがすりのモンペ姿のひとりのやせて年とった小さな女を乗せて
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
すると遭難船の姿を発見しなければならぬことになるが、さて探照灯を動かしてから見渡したところ、ボート一隻いっせき浮んでいないではないか。
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今までなぜ気がつかなかったと思うくらい、手近かなところに一隻いっせきのボートが、うかんでいた。
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)