一粒いちりゅう)” の例文
きざはしを下りざまに、見返ると、外囲そとがこいの天井裏に蜘蛛くもの巣がかかって、風に軽く吹かれながら、きらきらと輝くのを、不思議なるちりよ、と見れば、一粒いちりゅうの金粉の落ちて輝くのであった。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その色がだんだん変って、しまいには緑青ろくしょうのような美くしい液体になった。しかも一粒いちりゅうの飯さえあえて胃に送り得ぬ恐怖と用心のもとに、卒然として容赦なく食道をさかさまに流れ出た。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
上 種子たね一粒いちりゅう雨露うろに養わる
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)