一箭いっせん)” の例文
馬上、大声をあげながら、そのたまの来る方へと、敢えて、駈けてゆく一騎は、一箭いっせんの飛ぶような姿でもあった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とつ! 奇怪! ——怪しの駕籠の中から、二本の腕がぬっと出るやいっしょで、きりきりと双手もろてさばきの半弓が満月に引きしぼられたかと思われましたが、ヒュウと一箭いっせん
そうして、石碣せきけつの矢をつがえると、折から空の高くを飛び過ぎて行く渡り鳥の群に向って狙いを定める。弦に応じて、一箭いっせんたちまち五の大鳥があざやかに碧空へきくうを切って落ちて来た。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
するするとその手から得意のじゃがらみが投げ出されたかと見えましたが、いまし、名人の胸板めがけて窮鼠きゅうそ一箭いっせんが切って放たれようとしたそのときおそくこのとき早く、実に名技