一月寺いちげつじ)” の例文
遣場やりばのない視線をば追々に夏の日のさし込んで来る庭の方へ移したが、すると偶然垣根の外には大方一月寺いちげつじあたりから来る虚無僧こむそうであろう
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
月の出る時分になると、一人の子供が、一月寺いちげつじの門内から一人の坊さんを乗せた一頭の馬をき出すと
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一月寺いちげつじにいた時のことや、旅途中のことなどが、そんな中で、思い出される。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下総しもうさの小金ヶ原の一月寺いちげつじというのへ行くことになるかも知れません、それはまだきまったわけじゃあございませんから、当分は法恩寺に御厄介になっているつもりでございます
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一月寺いちげつじの食堂に留守番をしている七十を越えた老爺おやじのことであります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)