一事ひとこと)” の例文
その一事ひとことをもってすべての推測を下すのではないが、憎くはないがこの女一人のためには、何もかも失ってもと思い込むほどの熱情は、なかったのであろう。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
もう一度先生のやさしい眼で見られたい。ただその一事ひとことがあるばかりで僕は学校の門をくぐりました。
一房の葡萄 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
文三もその通り、始終お勢の事を心配しているうちに、何時からともなく注意が散って一事ひとことには集らぬようになり、おりおり互に何の関係をも持たぬ零々砕々ちぎれちぎれの事を取締とりしめもなく思う事も有った。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「ただ一事ひとこと、たった一つ……。」
一事ひとことの知りたさに
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)