かお)” の例文
つつましく膝に置いて俯向うつむき加減にしている盲目のかおのあでやかさは一座のひとみをことごとくせて恍惚こうこつたらしめたのであった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しかし何よりも不満なのはお遊さんのかおにあるあの「ろうたけた感じ」がない、お遊さんよりずっと位が劣って見える
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
どうしてそういう気になるのだか姉さんのかおを見ると自分のことなどはわすれてしまうというのでござりました。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
かくそうとする様子にご安心なされませおかおは見は致しませぬこの通り眼をつぶっておりますと行燈の灯を遠のけるとそれを聞いて気がゆるんだものかそのまま人事不省じんじふせいになった。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あのにおいが何処どこかお遊さんのかおのなかに立ち迷っているのでござります。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)