“ハンチング”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
鳥打帽60.0%
鳥打40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
先刻さっきから、森のうしろへはいったり、やしろの絵馬を仰向いたりしていた洋服屋の職人みたいな鳥打帽ハンチングが、そのひさしへ、ちょっと手をかけながら、彼女の前へかがみこんで来て——
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしきょうの愚連隊たちは、みんな瀟洒しょうしゃな背広服を着こんで、また新しい鳥打帽ハンチングとネクタイと鳴皮の靴まではきこんで、どこの若紳士のお揃いかと思われるような風采だった。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女が、アカシヤの幹にもたれて、今来た道をふり返ったとき、ゴルフ・パンツに鳥打ハンチングの紳士が歩いて来るのを見た。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そして鳥打ハンチングの下に柔和な瞳をほころばせながら、銃を壁間に立てかけてにこにこと問題の函の方に近付いて来たのであるが、なんと外函を一瞥いちべつするや博士の眼は途端に異様な輝きを帯びてきたのであった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
いつか鳥打ハンチングを失くしてしまっていた準之助氏は、もう両袖をじっとりと濡らしている新子の手を取って、その落葉松の林の中に、見捨てられたように、建っている別荘の軒先にかけ込んだ。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)