鳥打ハンチング)” の例文
彼女が、アカシヤの幹にもたれて、今来た道をふり返ったとき、ゴルフ・パンツに鳥打ハンチングの紳士が歩いて来るのを見た。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そして鳥打ハンチングの下に柔和な瞳をほころばせながら、銃を壁間に立てかけてにこにこと問題の函の方に近付いて来たのであるが、なんと外函を一瞥いちべつするや博士の眼は途端に異様な輝きを帯びてきたのであった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
いつか鳥打ハンチングを失くしてしまっていた準之助氏は、もう両袖をじっとりと濡らしている新子の手を取って、その落葉松の林の中に、見捨てられたように、建っている別荘の軒先にかけ込んだ。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)