“ショオル”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
肩掛77.8%
毛皮11.1%
肩懸11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
最初の人は、黒い髮と、黒い眼と、蒼白あをじろい廣いひたひとを持つた、背の高い婦人であつた。彼女のからだは、半ば肩掛ショオルに包まれてゐた。彼女の風貌は重々しく、姿勢は、すつきりしてゐた。
その靴も靴下も帽子も、「女」の組の毛皮ショオルも、「男」の組の洋杖ステッキもすべて漆黒しっこくなので、女優たちのはだの色と効果的に対照してちょっと美術的な舞台面だった。
ったり開いたり——その度に杖と毛皮ショオルと乳が揺れて、黒い靴下のほかははだかの脚が、何本も何本も見物のあたまのうえで曲がる、伸びる、廻る——つよい脚下灯の光りを下から受けて——。
彼が電車の入口に立った時、彼女はやはり黒い絹の肩懸ショオルをかけて、膝の上にひろげた婦人雑誌へ、つつましい眼を落しているらしかった。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)