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アントニイ
「
沙翁が
描いた所を
私が評したのです。——
安図尼が
羅馬でオクテヴィアと結婚した時に——使のものが結婚の
報道を持って来た時に——クレオパトラの……」
女王の
該撒に送れる
文に云う。願わくは
安図尼と同じ墓にわれを
埋めたまえと。
無花果の繁れる青き葉陰にはナイルの
泥の
燄の
舌を冷やしたる
毒蛇を、そっと忍ばせたり。
該撒の使は走る。
稜錐塔の空を
燬く所、
獅身女の砂を抱く所、
長河の
鰐魚を蔵する所、二千年の昔
妖姫クレオパトラの
安図尼と相擁して、
駝鳥の
翣箑に軽く
玉肌を払える所、は好画題であるまた好詩料である。