“ひきふだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
引札77.8%
報条22.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
頭の上には広告が一面にわくめて掛けてあった。宗助は平生これにさえ気がつかなかった。何心なしに一番目のを読んで見ると、引越は容易にできますと云う移転会社の引札ひきふだであった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
また少々慾張よくばって、米俵だの、丁字ちょうじだの、そうした形の落雁らくがんを出す。一枚ひとつずつ、女の名が書いてある。場所として最も近い東のくるわのおもだった芸妓げいしゃ連が引札ひきふだがわりに寄進につくのだそうで。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前記の報条ひきふだは多分喜兵衛自作の案文であろう。余り名文ではないが、喜兵衛は商人としては文雅のたしなみがあったので、六樹園の門に入って岡鹿楼笑名おかしかろうわらいなと号した。
河竹繁俊さんの『黙阿弥襍記もくあみざっき』の附録に、黙阿弥の書いた報条ひきふだの文章が五十種ばかりあつめてある。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
淡島屋の軽焼の袋の裏には次の報条ひきふだが摺込んであった。余り名文ではないが、淡島軽焼の売れた所以ゆえんがほぼ解るから、当時の広告文の見本かたがた全文を掲げる。
黙阿弥が店びらきの報条ひきふだを書いた“ねじやか堂の裏長家、手狭な宅へ蒲焼と、世間並の行燈かけた”小料理屋も、つまりは、その十六軒のなかに入っていたのだろうが、果してそれが、その境内が
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)