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せつぞう
唯可哀そうなのはお
政さんだ(
節蔵氏の内君)、ソレ
丈けは生きて居られるように世話をして
遣る、足下は何としても
云う事を聞かないから仕方がない
所が
榎本釜次郎だ。釜次郎は
節蔵よりか少し遅れて
此方に
帰て来て同じく
糺問所の手に
掛て居る。
糺問所と云う
牢屋のようなものがあって、その糺問所の手に掛って古川
節蔵と、前年、私が米国に同行した
小笠原賢蔵と云う海軍士官と、
二人連れで霞ヶ関の
芸州の屋敷に監禁されて居る。
それは
和泉国の
血渟山寺に安置せられていた吉祥天女の
摂像についての出来事である。