“しばち”の漢字の書き方と例文
語句割合
芝地100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
芝地しばちのまん中には、赤や黄や白の薄いきぬころもを着、百合ゆりの花のかんむりをかぶった、一人の女が立っていました。そして王子を見て、微笑ほほえんで手招きしました。
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
金博士は、石段づたいに芝地しばちに下り、そして正確なる歩速でもって、向うの方へ歩いていった。
と、とつぜん、するどくきみのわるいうなり声が聞こえてきました。立ちあがって見ますと、露台ろだいの下の芝地しばちに、一ぴきのキツネが、銀色ぎんいろのお月さまの光をあびて、立っていました。
ところがある晩、いつものように白樫しらがしの森の中の芝地しばちへ王子が行かれますと、千草姫は非常に悲しそうな顔をして立っていました。またその晩は、森の精さえ一つも出て来ませんでした。
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
王子と千草姫ちぐさひめとは黙って芝地しばちの上に坐っていました。月の光りが一面に落ちて来て、草の葉や花びらや木の葉をきらきらと輝かしていました。やがて千草姫はほっと溜息ためいきをついて言いました。
お月様の唄 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)